”薄氷”のリンク存続
静岡県内スケート界事情

2010・2・10
2月13日からカナダ・バンクーバーにて冬季オリンピックが開催される。そして静岡県からも
伊藤亜由子選手<浜松工校出>がスピードスケート・ショートトラックに出場するという。

ところが県内のスケートリンクの状況は、大変お粗末なものである、というような新聞記事が
2月10日付けの静岡新聞に掲載されていた。県内でスピードスケートの練習ができるリンクは
「浜松スポーツセンター」だけだという。前記の伊藤亜由子選手は、この浜スポで練習していた
という。この浜スポには、私もプールに毎日のように通っているスポーツクラブなのである。
ちょっと自慢したい気分である!


”薄氷”のリンク存続

県内スケート界事情、 唯一の施設は老朽化、選手は他県で練習!

バンクーバー冬季五輪開幕を控え、県勢はスピードスケート・ショートトラック伊藤亜由子選手
(浜松工校出)らの活躍に期待がかかる。温暖な気候の静岡でスケートはマイナー競技だが、
氷に懸ける熱意は脈々と流れ続けている。県内のスケート界の現状と課題を探った。

競技用スケートリンクが県内から消滅する”Xデー”が間近に迫っている。現在、唯一残ってい
る「浜松スポーツセンター」は施設の老朽化が進み、5年以内にも更新が必要な状況。
恵まれない条件の中で、競技に打ち込む選手らはリンク存続に願いを寄せている。
浜松市東区にある浜松スポーツセンターの室内スケートリンクは50年近い歴史を持つ。
五輪代表の伊藤亜由子選手もこのリンクから育った。60m×30mの広さがあり、フィギュア、
ショートトラック、ホッケーなどの競技が可能。毎年10月末から4月初めまで営業している。

このほか、県内には裾野市の「ぐりんぱ」屋外リンク、御殿場市の時之栖に特殊プラステック
樹脂リングがあるが、いずれも競技会には不向き。富士宮市の県立朝霧野外活動センター
室内リンクもサイズが正規の三分の一しかなく、選手が使用するには不十分だ。
気候温暖な静岡でリンクを経営するには、電気代がネックになる。以前は県中部にも旧静岡市
に二か所、旧清水市と焼津市に一か所ずつ民間リンクがあったが、すべて閉鎖になった。
選手強化の影響は明らかで、リンクが残っていた平成初めまでは国体で数多く入賞者が出ていた。
藤原林県スケート連盟会長は「リンクさえあれば、情熱ある若い指導者が教職に就き、高校に部
活動ができることで、選手は育つのだが」と悔しがる。

浜松スポーツセンターの製氷機械は20年以上前に設置した年代物だ。設備を全面的に取り換え
るには2、3億円が必要で、嶋野清治社長は「いろいろ資金繰りを検討しているが、機械を新しく
できなければ、いずれ閉じるしかない」と話す。
「リンクは全国的に不足気味で、静岡に年間を通じて使えるリンクをつくれば、選手が集る」。
宮島秀子県スケート連盟フィギュア部長は新規建設を訴える。

しかし、県の財政が厳しさを増す中で、「需要予測を立てたとしてもいい数字は出ないだろう」(県
教委スポーツ振興課)と実現の可能性は極めて低い。
若月和雄県スケート連盟理事長は「浜松のリンクは”最後のとりで”。運営を民間に任せたうえで、
県は製氷機の新設だけでも補助できないだろうか」と訴える。
「現在も選手たちは氷を求め、近県に出掛けて練習を積んでいる。「環境を言い訳にしたくない。
情熱を失わず、選手の発掘・指導に取り組んでいきたい」と若月理事長。マイナースポーツをどう
支えるか、行政と競技団体、民間施設の連携が問われている。
以上

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