ホンダF-1・21年度年間優勝

2021年12月12日、30年ぶりに年間優勝をはたした!
30年前というと1989年である。

この頃は、ドライバーは「アイルトン セナ」を擁し、マクラーレンホンダとして参加していた。
監督は、確かホンダ研究所の「桜井 淑敏」(さくらい よしとし)さんであったと思う。
前年に続き、2年連続の年間優勝だったと記憶する。

桜井さんというといろいろと私にとっては思い出深い方なのである。まず、研究所でお会いした。
私がホンダに入社して間もなく、研究所では軽自動車「ホンダZ」を発売すべく立ち上げ作業の
真っ最中であった、それと同時に当時、車の排気ガスが社会的に問題になっていて、その対策として
ホンダでは対策エンジンとして「CVCCエンジン」の開発も急務であった。
そんなことで、設計技術者が足りなく、応援を求めていた。
そこで、我々、狭山製作所の設備設計部門の3係と言われる我々のグーループの10人程度の者が
応援に駆け付けた。

研究所で受け入れチームの先頭にいたのが後の社長である、川本さんであり、桜井さんであった。
当時は、車体の形状を粘土で作成してたようで、その座標数値表があり、その数値をもとに線図を
作成する作業であった。
その時であった、研究所のトイレで当時の社長「本田 宗一郎さん」に二人っきりで出会ったのは。
勿論、私のことは全く知らない社長に「こんにちは!」と挨拶をした。
本田さんは「お〜!」と言って答えてくれた。何かすがすがしい気持ちになったことを覚えている。

さて、桜井さんの話に戻ると
次にお会いしたのは、十数年後だったろうか研究所からクランクシャフトのバランス許容値を四分の一に
厳しくしたい!それにより、今度開発したアコードの乗り心地がワンランクアップするという。
要するに許容値を20→5にするということである!
この時の研究所代表は、桜井さんだった!私は、設備担当として参加した。そして、クランクシャフト
製造部門代表の工場長及び現場技術者が参加した。
そこで、この提案を聞いて工場長が即座に反対の態度を述べた。許容値を四分の一にするなんて
現場では到底受け入れられないと。製造現場の工場長としては至極当然の意見だと思った。

しかし、私の提案は、その反対であった。技術的には可能です、という提案であった。
研究所の言うバランス許容値をクリアーするには、設備をこのように増強し、コストは数円ですと発表
した。

私の提案に対しての研究所側の意見は、その程度の投資とコストアップなら許容値を変更したい、と
いうものであった。
このことにより、それから発売されるホンダ車のクランクシャフトバランスの許容値は20→5と厳しい値
になったということである。

おわり



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